【活用ガイド】

JVNDB-2019-010367

衛星通信端末 Cobham EXPLORER 710 における複数の脆弱性

概要

Cobham EXPLORER 710 は衛星通信やインターネットアクセスに用いられる携帯用の衛星通信端末です。Cobham EXPLORER 710 には、次の複数の脆弱性が存在します。

CVE-2019-9529
当該製品の Web インターフェースはデフォルト状態において認証を必要としません。そのため、ローカルネットワーク内の攻撃者によって端末の Web ポータルにアクセスされ、設定を変更される可能性があります。

CVE-2019-9530
当該製品のドキュメントルートディレクトリにはアクセス制限がかかっていません。そのため、ローカルネットワーク内の攻撃者により任意のファイルにアクセスされる可能性があります。

CVE-2019-9531
当該製品の 5454/tcp ポートに対して認証なしで telnet 接続が可能であり、また telnet 接続の後、86 種類の Attention (AT) コマンドを実行することが可能です。そのため、遠隔の攻撃者により端末にアクセスされ、これらのコマンドを実行される可能性があります。

CVE-2019-9532
当該製品の Web インターフェースでは、ログインのためのパスワードが平文で送信されます。そのため、ローカルネットワーク内の攻撃者によりパスワード情報が窃取される可能性があります。

CVE-2019-9533
当該製品のファームウェア v1.08 およびそれ以前の全てのバージョンにおいて、同一の root パスワードが用いられています。攻撃者は該当する任意のバージョンのファームウェアを解析することにより、root パスワードを窃取することが可能です。

CVE-2019-9534
当該製品では、ファームウェアイメージの検証が行われません。また、ファームウェア中に残された開発用スクリプトにより、ファームウェアのカスタムイメージをアップロードし実行することが可能です。そのため、ローカルネットワーク内の攻撃者により、改ざんされたファームウェアをインストールされ、通信内容の改変や窃取、バックドアの設置やサービス運用妨害 (DoS) 攻撃等が行われる可能性があります。

なお CERT/CC によると、当該製品についてはこれらの脆弱性の他に、製品のシリアルナンバーがデフォルトの WiFi パスワードがとして設定されているため容易に総当り攻撃が可能であること、またセキュリティに関する重要な HTTP ヘッダがなく、クロスサイトスクリプティングやクリックジャッキング攻撃に対しても脆弱であるとのことです。

これらの脆弱性は 2014年に実施された IOActive’s findings に関する一連の調査として CERT/CC の研究者によって新たに発見されました。
CVSS による深刻度 (CVSS とは?)

CVSS v3 による深刻度
基本値: 9.8 (緊急) [NVD値]
  • 攻撃元区分: ネットワーク
  • 攻撃条件の複雑さ: 低
  • 攻撃に必要な特権レベル: 不要
  • 利用者の関与: 不要
  • 影響の想定範囲: 変更なし
  • 機密性への影響(C): 高
  • 完全性への影響(I): 高
  • 可用性への影響(A): 高
CVSS v2 による深刻度
基本値: 10.0 (危険) [NVD値]
  • 攻撃元区分: ネットワーク
  • 攻撃条件の複雑さ: 低
  • 攻撃前の認証要否: 不要
  • 機密性への影響(C): 全面的
  • 完全性への影響(I): 全面的
  • 可用性への影響(A): 全面的
影響を受けるシステム


Cobham plc
  • Cobham EXPLORER 710 ファームウェア バージョン 1.07
  • Cobham EXPLORER 710 ファームウェア バージョン 1.08 およびそれ以前

想定される影響

想定される影響は各脆弱性により異なりますが、次のような影響を受ける可能性があります。
* 情報の漏えいや改ざん - CVE-2019-9529、CVE-2019-9530、CVE-2019-9531、CVE-2019-9532、CVE-2019-9533、CVE-2019-9534
* 任意のコマンド実行 - CVE-2019-9531
* サービス運用妨害 (DoS) - CVE-2019-9534

対策

2019年10月10日現在、対策方法は不明です。
ベンダ情報

Cobham plc
CWEによる脆弱性タイプ一覧  CWEとは?

  1. 重要な機能に対する認証の欠如(CWE-306) [NVD評価]
  2. その他(CWE-Other) [NVD評価]
  3. 不適切な認証(CWE-287) [NVD評価]
  4. 重要な情報の平文での送信(CWE-319) [NVD評価]
  5. ハードコードされた認証情報の使用(CWE-798) [NVD評価]
  6. ダウンロードしたコードの完全性検証不備(CWE-494) [NVD評価]
共通脆弱性識別子(CVE)  CVEとは?

  1. CVE-2019-9529
  2. CVE-2019-9530
  3. CVE-2019-9531
  4. CVE-2019-9532
  5. CVE-2019-9533
  6. CVE-2019-9534
参考情報

  1. JVN : JVNVU#98031944
  2. National Vulnerability Database (NVD) : CVE-2019-9529
  3. National Vulnerability Database (NVD) : CVE-2019-9530
  4. National Vulnerability Database (NVD) : CVE-2019-9531
  5. National Vulnerability Database (NVD) : CVE-2019-9532
  6. National Vulnerability Database (NVD) : CVE-2019-9533
  7. National Vulnerability Database (NVD) : CVE-2019-9534
  8. US-CERT Vulnerability Note : VU#719689
  9. 関連文書 : A Wake-up Call for SATCOM Security
  10. 関連文書 : Clickjacking
  11. 関連文書 : Content Security Policy
更新履歴

  • [2019年10月11日]
      掲載
  • [2019年12月02日]
      参考情報:National Vulnerability Database (NVD) (CVE-2019-9529) を追加
      参考情報:National Vulnerability Database (NVD) (CVE-2019-9530) を追加
      参考情報:National Vulnerability Database (NVD) (CVE-2019-9531) を追加
      参考情報:National Vulnerability Database (NVD) (CVE-2019-9532) を追加
      参考情報:National Vulnerability Database (NVD) (CVE-2019-9533) を追加
      参考情報:National Vulnerability Database (NVD) (CVE-2019-9534) を追加
  • [2024年03月05日]
      CVSS による深刻度:内容を更新
      CWE による脆弱性タイプ一覧:内容を更新